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研究助成機関 Archive

新NIHパブリックアクセス方針が施行されて二ヶ月

 四月から実施されている登録義務化を伴うNIHパブリックアクセス方針ですが,それもあってか月当たりの登録数が2000件を超えるようになっていました。総登録原稿数も,3万件に達しています。

nih-pap200806.jpg

米国でも進むSCOAP3加盟

 高エネルギー物理学関連の研究機関および図書館が中心となってコンソーシアムを形成し,これまで同分野の学術雑誌の予約購読費用につかっていたお金をOA化するために使うことで,HEP=OAにしようとするSCOAP3ですが,米国でもついに加盟機関がでてきました。現在までに,カリフォルニア大学(分校全て),カルテック,エネルギー省傘下の研究機関(Fermilab, LANL, Pacific Northwest National Laboratory, Argonne National Laboratory)が正式に加盟表明を,ジョンホプキンス大,SLACも近く加盟するようです。

 米国以外では,ドイツ,イタリア,フランス,CERN(スイス),ノルウェー,スウェーデン,ルーマニア,ハンガリー,デンマーク,ギリシャ,スロバキア,オーストリアが正式に加盟表明をしており,4.5M$確保しているとのことです。日本(0.8M€)は,既報通り文科省とKEKにすでにコンタクト済み,日本物理学会で検討中とのことです。

 昨日,UCバークレー校で米国向け会議があり,その発表資料も公開されていました。

NIH PAP 2007への反応

 アメリカ出版者協会,国際科学技術医学出版社協会がそれぞれ先月法制化されたNIH PAP 2007(注:便宜的にこう呼びます。正式なものではありません)に対して,緊急のお知らせを出していました。今回の決定を非難する内容で,NIH PAPが科学出版や関連知的財産権に与える負の影響について引き続き議会に呼びかけていくこと,新しい方針を実施する前にパブリックコメントの機会を与える等の手順をNIHに求めることなどが書かれていました。Suber氏はそれぞれのリリースに対し,反論を載せています。Schuba.jpg

Publishers Say Enactment of NIH Mandate on Journal Articles Undermines Intellectual Property Rights Essential to Science Publishing
http://www.pspcentral.org/publications/AAP_press_release_NIH_mandatory_policy.pdf

STM comments on U. S. National Institutes of Health Unfunded Mandate
https://mx2.arl.org/Lists/SPARC-OAForum/Message/4142.html

Policy Changes In Budget Bill
http://pubs.acs.org/cen/news/86/i01/8601notw4.html

NIH OA Mandate Passes
http://gslis.simmons.edu/mw/openaccess/Main_Page

http://www.the-scientist.com/blog/browse/date/2008-01/

http://www.earlham.edu/~peters/fos/2008/01/aappsp-response-to-oa-mandate-at-nih.html
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2008/01/stm-response-to-oa-mandate-at-nih.html

NIH PAP,法制化される

 年の瀬も迫った今日この頃ですが,苦節3年5ヶ月の時を経て,NIHパブリックアクセス方針が当初の意図を反映する形で,法律(PDF,19MB,該当箇所はp.81)となりました。2004年の夏から注目してきたこともあり,感慨深いものがあります。
 だれがいつ原稿を登録していくのか(研究者か出版者かはたまた図書館か),遵守率は100%になるのか,など気になります。

The Director of the National Institutes of Health shall require that all investigators funded by the NIH submit or have submitted for them to the National Library of Medicine's PubMed Central an electronic version of their final, peer-reviewed manuscripts upon acceptance for publication to be made publicly available no later than 12 months after the official date of publication: Provided, That the NIH shall implement the public access policy in a manner consistent with copyright law.

NIH PAP,修正予算案でも義務化

 the ScientistのBlogによると,修正予算案でもNIHのパブリックアクセス方針は詳細は曖昧なものの義務化のまま変化無し,であると報じられていました。政治の世界はよくわかりませんが,大どんでん返しがなければ,このまま成立しそうです。

追記:予算案が下院で承認されたため,あとはブッシュ大統領の署名を待つだけとなりました。

Congress passed NIH budget
http://www.the-scientist.com/blog/display/54032/

Open access lives in NIH bill
http://www.the-scientist.com/blog/display/54028/
Small raise for NIH, CDC budgets
http://www.the-scientist.com/blog/display/54025/

SCOAP3によるオープン・アクセスの運動について(日本物理学会)

日本物理学会と高エネ研が,SCOAP3について対応し始めたようです。最後の一文が,示唆的です。

今年7月にCERN所長より文科省とKEK機構長あてに、SCOAP3(Sponsoring consortium for Open Access Publishing in Particle Physics)の提案と問い合わせが届きました。これは学術雑誌の高騰を背景に、公共の費用による研究成果は全世界に対してオープンであるべきという動機から発案されたもので、巨大研究機関を中心に行われている高エネルギー物理分野の雑誌から開始しようという試みです。オープン・アクセス化の実現に必要な経費は、各国財政機関・研究機関・図書館連合などから調達しようとするもので、文科省への問い合わせもこのことに関連しています。一方、日本物理学会ではJPSJやPTPという固有の学術誌を有しており、上記のような巨額の新たな資金の流れは、これらの学術誌に大きな影響を与えます。先刻、KEKの機構長の呼びかけでKEK関係者と物理学会の代表とにより話し合いがもたれ、意見交換の後、この問題を検討するWGを立ち上げ早急に検討することになりました。このWGでの検討結果を踏まえ、文科省へ回答することになりました。高エネルギー物理関係者にも十分な情報が届いていなかったので、物理学会が中心になってこの問題を検討していることをここにお知らせしておきます。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jps/openaccess/open.html

CERNは,日本原子力研究開発機構図書館とも接触をとっているようです。
上記記載は誤りであるとのご指摘を,日本原子力研究開発機構図書館様から頂きました。下記のURLも日本原子力研究開発機構図書館様とは無関係です。お詫びして訂正致します。
http://cern71190.nobody.jp/visitors/18octobre07/18octobre07.html

独立行政法人の見直しに関する各省ヒアリング

 JSTが見直しの対象になったと産經新聞で触れられていましたが,行政減量・効率化有識者会議の議事概要によれば,


○ 日本学術振興会と統合できるのではないか。科学技術庁と文部省が統合したように、科学技術振興機構と日本学術振興会も統合すべき。
● 当機構と日本学術振興会の場合には、アカデミーから、学術研究が政策的なものに流れるのではないかという懸念がある。それぞれの目的が異なり、あえて統合するメリットはない。スウェーデンでは二つに組織が分離した例すらある。
○ 助成対象に適切に資金配分しているのか。ベンチャー育成事業の成果を元にして設立された160会社のうち上場が数社では少なすぎる。
○ 文献情報提供システムについて、累積欠損金をどのように解消するのか。
● データベースの構築は国費で行い、運営は収入でと考えている。財務省からも累積欠損金を圧縮するよう言われているが、明確な時期は申し上げられない。

学振と統合対象になっていたんですね。

米国議会,拒否権覆せず

 米国時間の15日夜,労働・厚生・教育歳出法案に対する投票が行われた結果,277対144と再可決に必要な3分の2以上に2票足りず,ブッシュ大統領の拒否権を覆すことができませんでした。今後は,法案を修正することになりますが,NIH PAPの義務化自体は超党派の支持を得ており,ブッシュ大統領も反対している訳ではないそうですので,おそらくこのまま義務化の方向でいくのではないかとの見解をSuber氏は示していました。

http://www.nytimes.com/2007/11/16/washington/16spend.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/11/15/AR2007111502624_pf.html
http://ap.google.com/article/ALeqM5h6dZR6Ran4SvzDtMx_YPyrtO3qkQD8SUG8C80
http://the.honoluluadvertiser.com/article/2007/Nov/15/br/br0731589624.html

ブッシュ大統領,歳出法案に拒否権を行使

 上院下院によって可決され妥協案が提出された労働・厚生・教育歳出法案に対して,ブッシュ大統領がAirforce1上で拒否権を行使しました。
nih.001.png


  1. 議会が制定した法案は国家元首たる大統領のもとに送付される。
  2. 大統領がこの法案を承認する場合は、法案への署名をもってこれが法律となる。
  3. 大統領がこの法案を承認しない場合は、法案には署名せずに、承認できない理由を明記した別書を添えて、日曜を除いた十日以内に議会に差し戻す。
  4. その場合、議会は大統領が承認できない理由を十分に考慮したうえで、必要に応じて法案に修正を加えた上で大統領に再送付するか、または
  5. 両院で3分の2以上の多数で再可決して大統領の署名なしで法律にする。
  6. ただしこれらが会期内にできないときは廃案となる。

Wikipedia 拒否権より)

今は3の段階なので,5で再可決されれば,NIH PAPの義務化が法律となります。50名以上の共和党議員にも支持された超党派法案でありますが,行く末やいかに。

http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/n/a/2007/11/13/national/w074425S75.DTL&type=politics
http://crds.jst.go.jp/watcher/index.html
http://www.aaas.org/spp/rd/nih08c.pdf

SCOAP3,2008年にも本格始動

 高エネルギー物理学分野のコアジャーナルを全てOAにすることを計画している研究機関・助成機関・図書館のコンソーシアムであるSCOAP3(Sponsoring Consortium for Open Access Publishing in Particle Physics)ですが,来年にも実現に向けて本格的に始動するようです。PR16.06.gif
 高エネ分野の1論文あたりの刊行費用は1000~2000ユーロで,OAへ移行すると年間1000万ユーロかかると算出しており,一方で,コアジャーナル1タイトルあたりの購読料は高いものだと1万ユーロ,世界中の購読機関が500程度あるので計500万ユーロとなることを考えるといわずもがなということに。費用分担は論文数によって決まるようで,アメリカ(24.3%),ドイツ(9.1%),日本(7.1%)以下・・・となっています。
 高エネ分野のコアジャーナルは,4出版社・学会が出している6タイトルあり,ここに大部分の論文が発表されるので,SCOAP3はこれらの出版社・学会と詰めの協議に入る模様です。隣接分野もあるので,より多くの関連機関を巻き込むことで一気にOA化してしまおうという勢いが感じられます。論文というモノを持っている出版社・学協会が一度OA化を決断すれば,IRよりも数段のインパクトがあるでしょう。事実,分野によっては中小出版社によって多くのOA論文が提供されているわけですから。

Particle physicists push for publishing changes. Research Information. October/November 2007.
http://www.researchinformation.info/features/feature.php?feature_id=148

http://crds.jst.go.jp/watcher/data/264-002.html

歳出予算案が上院通過,NIH PAPの骨抜きは回避

 先週の金曜日,歳出予算案の審議期限の間近になって,NIH PAPの義務化についての文言をなくそうとする修正案がJames Inhofe議員(共和党)によってだされ,一騒動が起こっていました。が,(実際には修正案は撤回され)無事修正されることなく予算案が上院を通過したそうです。連邦議会でブッシュ大統領の拒否権を覆すかどうかが今後の焦点となりそうです。

ATAによるPR
http://www.taxpayeraccess.org/media/release07-1024.html

Inhofe議員の寄付者リスト
http://www.opensecrets.org/politicians/contrib.asp?CID=N00005582&cycle=2006
http://www.opensecrets.org/lobbyists/clientsum.asp?year=2006&txtname=Reed+Elsevier+Inc

エルゼビアの掌:助成研究論文向けの新ライセンス

 エルゼビアが,「Supplemental Terms and Conditions for sponsored documents published in Elsevier journals」を公開していました。これは,主にWellcome Trustによる助成研究論文のPMCおよびUKPMCでの取扱いについて述べたもので,概要は以下のようなものです。

 「原稿」は,査読,校正,出版の間になされた全ての変更を含む
 「原稿」は著作権で保護され,エルゼビアの許可のもと登録される
 「原稿」内のリンク,出版者による修正や取り下げにPMCが責任を持つ
 助成研究の論文は,SDで無料アクセス 

 非商用利用は以下を条件とする
  著作者人格権を侵害しない
  第三者に属する内容があれば,その再利用が所有者の方針と一致するか
  確認するのは利用者の義務
  非商用研究や教育目的で複製・DLされた場合,適切な書誌情報を維持し,
  著作権表記を明示する
 商用利用は禁止
 エルゼビアと予め合意がなされれていない翻訳は,非公式であることを明記 
 PMCに登録された「原稿」についてエルゼビアは何ら保証しないし,利用することで
 生じた損失や損害に対し,法的責任を負わない

このライセンスは,PMC/UKPMCに登録されるものが《原稿》ではなく,Wellcome Trustのように常に「出版者版論文」が好まれる場合に適用され,NIHやHHMIのように《原稿》が登録される場合には適用外となるようです。あくまで出版者がコントロールするという立場が鮮明にでているように思われます。より詳しい説明は土屋先生の発言を参照してください。
(「原稿」≠《原稿》)


HHMIがSpringer Open Choiceの選択を支援

Howard Hughes Medical Institute (HHMI) が,所属研究者がSpringerのOpen Choiceを利用する場合,研究室予算やその他との兼ね合いで,最高2,000ドルまで援助すると発表していました。予算が潤沢ですね。

http://www.hhmi.org/news/springer20070927.html

カリフォルニア大学,NIHパブリックアクセス方針の義務化を支持

 カリフォルニア大学のプロボストであるWyatt Hume氏が,上院議員のDiane Feinstein氏にカリフォルニア大学がNIHのパブリックアクセス方針の義務化(を求める予算案)を支持する旨の書簡を24日付で公開していました。

http://osc.universityofcalifornia.edu/news/Hume_to_Feinstein_9_24_07.pdf

FRPAA法案に進展無し

 Wired Newsによると,上院議員のJohn Cornyn氏とJoseph Lieberman氏が,2006年5月に「Federal Research Public Access Act of 2006」を提出してからとうに1年が過ぎましたが,現時点でも進展は見られないそうです。110回米議会に再提出されておらず,FRPAA法案になんらかの動きがすぐに起こる可能性はなさそうであるとされています。

http://blog.wired.com/wiredscience/2007/09/mandated-open-a.html

科学技術振興機構,廃止?(産經新聞)

 産經新聞によると,政府は独立行政法人の整理合理化の一環で科学技術振興機構を廃止することを検討しているそうです。記事には,「国からの財政支援が予算全体の9割を超えているにもかかわらず、給与水準が国家公務員よりも高く「存続させる意味がない」(政府関係者)と指摘されていた」ともあります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070927-00000068-san-pol

香港研究助成員会がOA方針を検討するも義務化は見送り

 香港の大学助成委員会から公的助成支援を受けている大学の研究成果をオープンアクセスにするかどうかについて,動きがあったようです。

 香港研究助成委員会は6月に行われた会議で,世界的に公的研究助成の成果にOAを求める動向があることは認識しており同委員会にも香港でも同様にすべきであるとの意見も届いているが,PIにOAを義務化しないことを決定し,研究者の自発性に任せる形でIRやOAジャーナルなどから研究成果を利用できるようにすることを推奨するというものに落ち着いたそうです。(NIHの例を見れば,どうなるかは見えている?)

カナダ保険研究機構がOAを義務化

CIHRlogo_e.jpg カナダ保険研究機構がOAを義務化することを正式に決定しました。

Policy on Access to Research Outputs

 2008年1月1日以降,CIHRから助成を一部でも受けた研究成果に適用され,OAジャーナルに投稿するか,出版者の方針に合わせる形で,刊行後六ヶ月以内に可及的速やかに査読を通った研究論文と研究データをPubMed Centralや機関リポジトリに登録することが求められるそうです。研究データについては,刊行されたかに関わらず,助成終了後五年間の保管も求められています。方針に従わない場合は,何らかの罰則が科される模様です。

アメリカ出版者協会がロビー団体「PRISM」を結成

 アメリカ出版者協会が, 政府のオープンアクセス政策に反対するロビー団体「PRISM(The Partnership for Research Integrity in Science and Medicine)」を結成していました。査読制を損なう,政府の検閲,政府予算の不確実性,出版社・学会との重複・非効率などを主な理由として色々と政府によるオープンアクセス義務化に反論するための材料を提供しています。また,一悶着ありそうです。

スイス科学財団がOA義務化

 スイス科学財団(Swiss National Science)が助成研究のセルフアーカイブを義務化すること発表していました。9月1日より施行されるそうで,被助成者はIRか分野のリポジトリに登録すればよく,財団側でリポジトリを作ることはないそうです。出版社のエンバーゴは尊重する形をとるようです。 http://www.snf.ch/D/NewsPool/Seiten/news_070809_OpenAccess.aspx

NIHパブリックアクセス方針の義務化へ第一歩も…

 下院で2008年度労働・健康福祉歳出予算案が可決され,NIHパブリックアクセス方針の義務化への第一ハードルを越えました。今後は,この夏にも上院と大統領の署名を経て,というプロセスを経るようですが,大統領が予算案の可決について拒否権を執行するのではないかとの見方もあり,雲行きは怪しいのかもしれません。

http://www.taxpayeraccess.org/media/release07-0720.html
http://thegate.nationaljournal.com/2007/07/house_passes_fy08_laborhhs_mea.php
共和党は反対多数
http://projects.washingtonpost.com/congress/110/house/1/votes/686/

NIHパブリックアクセス方針の義務化はなるか

明日17日火曜日に下院で決議が行われる2008年度労働・健康福祉歳出予算で,NIHパブリックアクセス方針が義務化されるのではないかということですが,各種団体からの活動も盛り上がっているようです。
 出版社は議員に登録義務化は米国著作権法や国際的な著作権条約を侵害すると主張し,法廷・インターネット・知的財産にかかる法務小委員会のHoward BermanとHoward Coble両議員は,David ObeyとJames Walsh議員にNIH関連の言葉をなくすよう迫ったり,アメリカ出版者協会も連邦議会議員らに同方針への反対を示すメールを送ったり等しているそうです。
 その一方で,ALAはを近くの議員に同方針の支持を伝えようとメッセージを出し,ノーベル賞受賞者26名が連名で連邦議会に方針の義務化を支持する公開書簡を出していました。

http://capwiz.com/ala/issues/alert/?alertid=10015346
http://www.libraryjournal.com/info/CA6459873.html?nid=2673#news1
http://www.libraryjournal.com/info/CA6458898.html?nid=2673#news1
http://www.pspcentral.org/publications/LHHS_appropriations_bills.pdf

PubMed Centralへの原稿登録率が上昇中?

nihms.001.jpg
 NIHパブリックアクセス方針による論文原稿の任意登録は3.8%という登録率の低さだけが一人歩きしているところもありますが,施行から2年の2007年にはいって,一月あたり1000件程度が登録されるようになってきており,総登録原稿数は1.2万になりました(半数弱が刊行前の論文原稿,PMCでの未公開分も含む)。この上昇は,UKPMC分も追加されているからとも考えられますが,統計自体はNIHMSに登録された論文数なのでUK分は含まれていないと考えても良いかと思われます(検索結果のリストにはどこにアーカイブされているか表示されていますが,紛らわしいので,簡単に区別できるとよいのですが・・・)。

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連邦政府助成研究のデータに対するオープンアクセス(nature)

米国のInteragency Working Group on Digital Data(IWGDD)が,連邦政府助成研究から生まれた科学データをリポジトリに蓄積し一般公開する計画を考案中で,翌秋にも原案が出されるとnatureが報じていました。オンラインデータリポジトリから,データの標準規格,データ登録を助成の要件とするなどが計画されているそうです。

Butler, D. Agencies join forces to share data. Nature, vol.446, no.7134, 2007, p.354.
http://www.nature.com/nature/journal/v446/n7134/pdf/446354b.pdf

NIH所長,NIHパブリックアクセス方針は義務化が必要と発言

NIH所長ザーフーニーが,上院歳出委員会労働健康福祉小委員会で「パブリックアクセスを連邦政府助成の条件とする必要がある。(中略)義務化を伴う方針は我々の目的を達成するために必要なものであるように思われる」と発言していたそうです。

http://appropriations.senate.gov/Media/2007_03_19_Webcast_of_the_March_19_Hearing_on_NIH_Funding.ram
http://www.taxpayeraccess.org/NIH.html
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2007_03_18_fosblogarchive.html#117476534149036353

オーストラリア研究会議,研究成果へのOAを期待

 オーストラリア研究会議が今月初頭に公表した「Funding Rules for funding commencing in 2008」のなかに,助成から生まれた研究成果やデータの流通が最大限になされることが望ましいとして,その例として機関リポジトリにデータや出版物を登録することの恩恵を考慮してほしい旨の文言があり,六ヶ月以内にIRに登録しない場合はその理由を最終報告書に記載しなければならず,登録した場合ものそれがわかるように同様に記載しなければならないとのことです。
 登録しない理由はいくらでも考えられるので,実効性のほどはいかに。

カナダ保険研究機構のOA方針案をSPARCとCARLが支持

先月公開されたカナダ保険研究機構によるオープンアクセス方針案に対して,SPARCとCARLが支持する旨のプレスリリースを出していました。
方針案の改善点として,SPARCは以下の三点


  • 被助成者は方針に従うことを求められる
  • 的確なアーカイブやリポジトリの仕様を詳細にすること
  • 論文は即時アーカイブに登録されなければならないが,被助成者には柔軟な登録を許可し,出版社には研究者に代わって登録を行い,CIHRの方針に準拠すること

CARLは以下の三点

  • CIHR助成研究の成果を長期間にわたって保管しアクセスするためのカナダ型解決法を開発すること
  • 研究データに対するアクセスを提供するためのより構造化されたアプローチをとること
  • 方針の遵守と将来の助成交付の決定を結びつけることを保証すること

を指摘していました。

カナダ保険研究機構がオープンアクセス方針案を公開

カナダ保険研究機構が同機構から助成を受けた研究成果に対するオープンアクセスを求める方針案「Draft Policy on Access to CIHR-funded Research Outputs」を公開していました。OAの対象になるのは,査読誌に掲載された論文だけでなく研究資料(試料,質問紙表など)や最終的な研究データをもOAにしなければならないようです。上記3種類の成果,特に論文は刊行後すぐにリポジトリにアーカイブしなければいけないそうですが,実際に公開するのは六か月のエンバーゴが認められるそうです。OAジャーナルに投稿することも推奨されていました。

参考
4.特集:カナダの科学技術政策動向
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt006j/feature3.html

研究助成機関のOA方針から学ぶ10の教訓

SPARC Open Access Newsletterが100号に達したそうで,「研究助成機関のOA方針から学ぶ10の教訓」が掲載されていました。


  1. 方針は,OAを単に要求するのではなく,義務化しなければならない
  2. 義務化は,査読で指摘された全ての変更を反映した著者最終原稿に適用されなければならない
  3. 研究助成機関は自らの利益(interst)を弱める事なしに,出版社と応対(help)すべきである
  4. 方針は,主に査読制を設けている学術雑誌に刊行されたものに適用されるべきである
  5. 方針は,被助成者がOAあるいはOAハイブリッド雑誌に発表する費用を研究助成金から出すことあるいはその他の助成金に申し込むことを許可すべきである
  6. 方針は,どのOAリポジトリ(OAの諸条件を満たし相互互換性・長期保存を保証する)を使うかの選択は著者にゆだねるべきである
  7. 方針は,助成金の全てあるいは一部から生まれた研究から生まれた論文に適用されるべきである
  8. 方針は,二重の登録・公開戦略を適用すべきである(メタデータ/全文, 登録と一般公開)
  9. 処罰の有無はともあれ,義務化を実施可能にすべきである
  10. 研究助成機関による(著者最終原稿の)流通の法的なよりどころは,政府による認可あるいは被助成者との契約であるべきである。方針は,直接・間接的に出版社との合意に依拠すべきでない

RCUKのオープンアクセスに対する立場

英国のRCUKが、「Research Councils UK' updated position statement on access to research outputs」を公開していました。
 RCUK全体ではなく、8つの個々のResearch Councilsがそれぞれ、助成研究の成果へのアクセスに関するガイドラインを近々発表するそうで、なかでもMedical Research Councilは研究成果に対するOAを義務化することを発表していました。RCUKは引き続きセルフアーカイブや著者支払いモデルが学術出版に与える影響をマクミラン、ブラックウェル、エルゼビアなどと協力して調査をするそうです。ハーナッド氏は、これはまったくナンセンスで、自発的なセルフアーカイブは学術出版に影響がないことがわかっているのだから、セルフアーカイブの影響を試すのは義務化するのが唯一の客観的なテストになると申しておりました。

SHERPAが早速、JULIETというサービス(まとめサイト)を提供していました。仕事が速いですね。


参考:
英国の Funding Agency として の Research Councils の役割
http://www.jst.go.jp/po_seminar/pdf/semi2/pre/no_02.pdf

RCUKら共同で学術雑誌出版に関する調査を実施

RCUKがRINとDTIと共同で,(英国の)学術雑誌出版に関する調査を行うと発表していました。大きな目的は,学術雑誌産業に関する信頼できかつ客観的な情報を提供することで,学術雑誌の出版について今までに何が知られているのかあるいはそうだと信じられているのか,何が不確かなのかをデータに基づいて明らかにしたいようです。(政策決定のデータとしても使われることを期待しているようです)。オープンアクセスの利害関係者は自分の主張を通すために,いろんなデータを使っているけれど,それぞれがみなの合意を得たものではないのでそれをこの調査を通して提供しましょう,という立場のようです。結果は今年の夏半ばまでにはまとまるとのことです。

http://www.rin.ac.uk/taxonomy/term/4/0?q=data-scholarly-journals

政府助成研究成果へのオープンアクセスは拡大するか

先日のNIHのパブリックアクセス方針に関する報告書で触れられていたように,戦略的な失敗に終わった最大12ヶ月のエンバーゴと自発的な登録というこれまでの方針から,より厳しく「6ヶ月以内」と「登録義務化」にするべきだというワーキンググループの意見は,パブリックアクセス方針の強化に向けた動きがあることを示しています。それと同時に,CURES法案なども提出されていますが,ワシントンポスト紙によると,現在米国議会では,NIHに代表されるように生物医学だけではなく,分野を問わずより広範な政府助成研究に対する公的なアクセスを提供することを義務化する法律を検討中とのことです。John Cornyn上院議員は,米国環境保護庁や国家海洋大気局などのより多くの政府機関の研究成果の公表を義務づけるようできないかと考えているそうです。一時停滞していたアメリカのオープンアクセス運動がまた水面下で動き始めたという事なのでしょうか。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/03/09/AR2006030901960.html

ドイツ研究協会のオープンアクセスガイドライン

ドイツ研究協会が、研究助成対象者にオープンアクセスを推奨する「オープンアクセスガイドライン」を採用することになったそうです。NIHと同様に、義務ではなく推奨レベルの方針なので、実施後の効果はいかばかりかと思われますが、アメリカ、イギリス、ドイツと大国の研究助成機関が助成条件のなかにオープンアクセスを組み入れるようになってきました。
日本も科研費の電子申請をもっと有効利用できないものでしょうか。

全てエルゼビアにお任せを - NIHパブリックアクセス方針に対する新規定

エルゼビアが、NIHのパブリックアクセス方針に対して新しく規定を公表していました(これが全タイトルに当てあまるのかは未確認)。NIH PAPに該当する論文の著者最終原稿を査読のコメントを含めて、エルゼビアが代行してPubMed Centralに登録するのだそうです。著者は何もしなくても、NIH PAPを遵守することができるというシステムで、著者自らが直接PMCに登録することを禁止しています。(From OAN)

http://ees.elsevier.com/rtx/

NIH パブリックアクセス方針に関する報告書

散々叩かれながらも昨年5月に開始されたNIHのパブリックアクセス方針(PAP)ですが、先月同方針に関する報告書(PDF)が提出されたようで一般公開されていました。「はじめに、背景、達成度、実施した活動、問題点、結論、付録(著者が求めたエンバーゴ期間、NIH PAPのアウトリーチ活動)」といった構成になっており、10ページの内容となっています。

報告書は最初の八ヶ月(5/2-12/31)のデータに基づいており、その間に同方針の対象となる論文約43,000編(2004年度のデータをもとに推計;実測値ではありません)のうち、実際に登録されたのは1636編で実に4%以下でした(もともとPubMed Centralに登録されている雑誌に掲載された論文や、2005年5月以前に発表された論文は含まれていません)。そのうち、6割が出版後即時公開され、23%が10-12ヶ月後、17%がその間であったそうです。

PMCに登録される論文も年々増加しており、同期間に371,000編から515,000編となり、680万のユニークユーザが3200万論文を閲覧したそうです。登録システムの運用費用は2005年度は100万ドルで、もし全ての論文が登録されるようになった場合350万ドルかかると推定されています。

また、NIHはPAPを周知させるため内部職員にはじまり、全ての助成研究者、出版社等にメール、書類、説明会などを配布・実施しており、19大学を対象に行った調査では研究者の大半はPAPを知っていたそうで、登録率の低さの理由にはならないのではないかとしています。

ほかにも、11月の同方針のワーキンググループでは、1)登録を義務化すべきか否か、2)どのバージョンの原稿を登録すべきか、3)エンバーゴの期間をどう設定するかが質疑にあがり、大半の委員は義務化すべき、編集済みのファイルを登録すべきなどといった意見を出したそうです。

今後もNIHは利害関係者と協議しながら、同方針の履行に努めていくそうです。

英国下院、「Free for all」を巡り議論するも?

先日の15日に、英国の下院で「Free for all」を巡って議論が行われましたが、その様子が続々と伝えられているようです。議論は、科学出版のモデルについて集中したようで「Free or all」やRCUKが求めているセルフアーカイビングについてはあまり触れられていないとのことです。(議事録を検索すると「self-archiving」という単語は、5回のみ使われていました)

http://www.publications.parliament.uk/pa/cm200506/cmhansrd/cm051215/halltext/51215h01.htm
http://www.parliamentlive.tv/frames.aspx?d=a(15日のWestminster Hall)
http://www.theyworkforyou.com/whall/?d=2005-12-15

Wellcome Trust,Blackwell/OUP/Springerと助成研究の即時オープンアクセス提供を契約

イギリスの助成機関Wellcome Trustが,Blackwell,Oxford University Press,Springerとの間で,WTの助成を受けた研究成果を発表する論文を,即時オープンアクセスという形で3出版社から電子ジャーナル経由でアクセス可能にする契約を結んだと,Gardian紙で伝えられていました。
 大きな契約であるように思われますが,この四者間でのお金の流れがどうなっているのかが気になります。

http://business.guardian.co.uk/story/0,16781,1667461,00.html