- 2007年7月25日 02:38
- 出版社
SpringerのOpen Choiceといえば,著者選択型オープンアクセスの先駆けであるわけですが,改めて復習するとこれは
「著者」である研究者が,自分が書いた「学術論文」を,3,000ドルを支払うことで刊行と同時に電子的に無料で公開することができるサービス
で,Springerのサイトでは同サービスを利用した論文は,Open Choiceのラベルが貼られています。Open Choice論文は,Springerの説明に従えば著者は著作権を移転しないことになっています。このサービスをめぐって先日一悶着あったようです。
ことの発端は,ハーバード大の化学者であるPeter Murray-Rust氏が,Springer刊行のJournal of Molecular Modelingに投稿した論文をOpen Choiceを利用して発表しようとした際に起こりました。Open Choiceを利用すると実際どのような形で提供されているのかをPMR氏が調べたところ,他の論文との違いは,「Open Choice」と書かれた200ピクセルの画像(説明のリンクもなし)が付与されているだけで論文の著作権をSpringerが主張しているというのは,BOAIのオープンアクセスの定義にそぐわないし,3,000ドルに値しないし,こんな慣行とは関わる事はできないということで,PMR氏はJournal of Molecular Modelingの編集委員会を辞任すると自らのブログで宣言していました。(言っている事とやっている事が違うじゃないかという事ですね)
この主張に対するSpringerのVelterop氏の意見は,もちろん著者は著作権を保持できるが,いかなる著作権保有者もまた論文をオープンアクセスにする事ができ,それには出版社も含まれている。著者が著作権を持つOA論文も出版社が著作権を持つOA論文も同程度オープンアクセスであって,どちらもSpringerLinkではOpen Choiceとラベル付けされていて,いかなる非商用目的でも利用する事ができるのであって,CCライセンスやベセスダ宣言の定義にも沿っていると主張していました(Open Choice論文の著作権の表示の仕方には確かに問題があるので改善に努めているとのこと)。
一方,コーネル大学のPhilip Davis氏は,Open Choice論文のリストを調べた結果,Open Choiceでない論文(単に,無料公開されているもの,解説記事など)もOpen Choiceとラベル付けされてしまってるそうです。
マニュアルチェックをしても実際よりも多くなってしまう現時点では何が本当にOpen Choice論文なのか正確に把握するのは難しいようですし,著者選択型OAサービスを提供する際の規約や提供方法にも一工夫が必要なのでしょう。
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