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IFに振り回される学術雑誌と研究者(Wall Street Journal)

  • Posted by: smine
  • 2006年6月 6日 16:48
  • 学術雑誌

6月5日付け(B1面)のWall Street Journalに、「Science Journals Artfully Try To Boost Their Rankings(狡猾な学術雑誌:ランキングの上昇を求めて(意訳)」という、インパクトファクターを巡るある意味えげつない学術雑誌の方針と研究者の戸惑いについての記事が掲載されていました。
 記事は、まず米国のUCSD医学部のJohn B. West教授によるAmerican Journal of Respiratory and Crinical Care Medicine誌への投稿を事例に、同誌の編集委員会から内容はよいので、もっと同誌に発表された論文を引用するにようにと言われ、「唖然とした。これは明らかな制度の濫用だからだ」というWest教授のコメントを紹介しています。
 要するに、学術雑誌の刊行者によるIFのかさ上げが行われていること、特に小規模の新興雑誌で行われていることが取り上げられています。IFに基づいて図書館が予約購読の決定をすることもあるので、出版者にとってIFは無視できない存在となっており、こうした状況をアメリカ生理学会のマーティン・フランク氏はIF売春をやっていると述べています。
 レビュー論文を多く発表したり、投稿先の論文を引用しライバル誌を引用しない、著名な論文をまとめて紹介する企画でその雑誌に掲載された論文をまとめて引用するなど、学術雑誌の編集委員会の中には,IFを上げるためにいろいろとあくどい事をやっているものもいるという例が紹介されていました。(引用の85%が同一雑誌内の論文に対してという例もあり、ISIからお咎めをくらった雑誌もあるようです)
 また、IFが研究の方向性を歪めてしまうのではないかという研究者と出版社の危惧についても触れられてもいます。あまり人気のない研究は下位の雑誌だけに受理されるのではないかと恐れて、流行の研究を掲載する傾向があるIFの高い雑誌に掲載されることを求めざるを得ない研究者と出版者の嘆きが伝えられていました。IFは操作されてしまえば、あまり重要に「見えない」研究者や研究が犠牲になって、重要そうに「見える」ものにたいして研究助成が行われてしまうのではというある出版社長の話で締めくくっていました。
 研究評価については、日本でも昨年の「特別シンポジウム「情報発信・流通機能の強化に向けて-学術コミュニケーションの課題と戦略-」」でも問題になっていましたが、研究者・出版者・ISIの良心に期待するしかないのでしょうか?

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