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研究助成機関とオープンアクセス―NIHパブリックアクセスポリシーに関して(情報管理)

  • Posted by: smine
  • 2005年6月 3日 00:21
  • 文献

情報管理に,尾身 朝子, 時実 象一, 山崎 匠氏による「研究助成機関とオープンアクセス―NIHパブリックアクセスポリシーに関して」が掲載されていました。

電子ジャーナルのオープンアクセスの動きは米国の国立衛生研究所(NIH)の助成研究成果論文公開の方針で新しい段階を迎えた。NIHは2004年9月に助成研究の成果については,論文刊行後6か月以内にNIHの電子ジャーナルサービスPubMed Centralにその最終原稿の電子版を提供し,無料公開するように求める提案を行い,同時に公開意見募集を行った。その結果を受け,2005年2月に最終方針を発表したが,そこでは出版社の意向を汲(く)んで論文刊行後12か月以内に変更された。この方針は2005年5月2日から実施される。この方針が生まれるに至った経緯や影響を与えた各種運動,またこの提案・方針に関して関係団体や学会・出版社の意見などを解説した。さらにわが国の学会出版への影響についても論じた。

Comments:3

skato 2005年6月 3日 09:21

この論文は,2月1日に行われたJSTのプレゼンテーション(の資料)に基づいたもので,NIHのパブリックアクセス方針の成立過程とその内容については丁寧な説明があります。また,日本の学協会への影響(対応)の部分はずっと客観的な記述になったように感じました。

なお,NIHのパブリックアクセス方針に対する出版社や学会の対応の記述がありますが,オープンアクセスの提唱者側の意見(非難)がほとんどとりあげられていないことが気になりました。

smine 2005年6月 3日 17:01

補足情報として,以下のURLにプレゼンテーションの資料があります。
http://info.jstage.jst.go.jp/meeting/list.html

土屋俊 2005年6月 5日 03:31

このNIHのPublic Access Policyが、オープンアクセスではないことはすでにさまざまな形で指摘されていることで、一部では、むしろオープンアクセスの理念を後退させるものであるというところまでの評価がでていることは重要な点だと思います。要点は、12ヶ月まで公開を遅らせることができるとしている点で、これは、あきらかにライセンシングをビジネスモデルの基礎とする商業出版者、学会出版者との妥協の産物であるということです。さらに、このポリシーが、NIHから被助成研究者への「要望(request)」にすぎず、義務づける(require, mandate)するものではないということです。一部には、この12ヶ月の猶予期間が、次第に短くなり、すぐにでも刊行即時という形になり、その結果、出版事業そのものの意味がなくなる(つまり、NIHが資金提供した研究の成果は、PubMed Centralで読めばよいので、雑誌刊行が相当程度不要になる)という議論がありますが、これはあきらかにベクトルの方向を読み間違えていると言わざるを得ません。今回のポリシーは、たんなる妥協の産物であり、2004年に鳴り物入りで展開した(オープンアクセス運動連携の)図書館団体と患者団体によるアメリカ議会へのロビーイングの成果としては失敗として評価せざるを得ないことは、すでに、このサイトで指摘したとおりです。

くわえて、商業出版者にしても学会出版者にしてもなかなかのもので、たとえば、エルゼビアの投稿者対象サイトを見ると、採択された論文の著者はエルゼビアに手紙を書くと、あとは全部代行してPMCに送ってくれるようになっているようです。これをやればたしかに猶予期間は徹底するわけです。

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